カラスがどこかに飛んでいき 猫がそれに続きます 斎藤さんもいなくなり 田中さんもいなくなる みんなどこかに行ったきり それもこれも 彼奴等(きゃつら)のせい 斎藤さん いまどこですか 九月の頃が恋しいです ビルの谷間に日が沈み 「ぴーひゃらほう」と鳴きながら 空から続々降りてきて 街をわらわら練り歩く 気づけば彼奴等の落とし物 ばかり街にあふれ だけどみんなはそれに 気が付かずただただ 田中さん いまどこですか いつになったら帰ってきますか 猫にひょこひょこついて行き 僕もどこかへ行ったまま そして 遠くの海でペンギンが 「かあ」と鳴いて もう、それきり。