最終バスにまにあわなくて 途方に暮れていたわたし あなたも同じように立っていたわ かかとのへったハイヒールで 家にむかい歩きだすと 背中を呼びとめた 静かな声が 車をひろうから もし よかったら いっしょに乗って行きませんか あなたの家の前で 降ろしてあげる 歩くのはつらい この深い夜霧はもう 小雨にかわりそうだから 見なれた町が窓を流れる なぜか別の世界のようこ まるでカボチャに乗ったシンデレラ あなたに嘘をついてしまったわ 金持ちぶって犬のはなし 明日の朝はテニスに行くだなんて あの古ぼけたアパートが 意地悪くだんだんと 近づいて来るのよ あなたに見られるのが はずかしくて 車を降りていた すぐそばの公園で あなたの名前さえきかず めくり逢いは突然すぎたの 横顔が素敵なあなた みじめなわたしを笑わないでね やさしい言葉 忘れられない ずっと胸に抱いてゆくわ 帰り道歩くたび 想い出すでしょう 車をひろうから もし よかったら いっしょに乗って行きませんか あなたの家の前で 降ろしてあげる 歩くのはつらい この深い夜霧はもう 小雨にかわりそうだから つかのまでも めぐり逢えて しあわせだった