これは遠い昔話、鬼の集落があって 人間と鬼はかつて、 交友を禁じられた 混血の少年はある日、 選択を迫られる 「七つを迎えるまでに鬼かヒトを 選べ」 人間のお父さんに 会ったことはないけれど 病弱なお母さんを僕は大好きだった だけど、あのね、聞いて、ボクは 人間も好きなんだ そう言ってボクは人の集落を 目指した あぁ、無知な子供だった やーいやーい鬼さんこちら やーいやーい手の鳴る方へ 人間の世界に僕の居場所はなかった 鬼たちでさえ僕ら親子を疎んでいた ボクは、 お父さんを連れて帰りたかった 人を選んだボクを見た母の目が 頭から離れない やーいやーい鬼さんこちら やーいやーい手の鳴る方へ 人間に殺されかけて逃げ戻った 集落は 一族の恥晒しとボクに石を投げる あのね、聞いて、ボクは、ママが 一番大切なんだ 亡骸を抱いてみても、 もう何も聴こえない