鍵をかけて 左足から上がる 食事よりも 先に身を清める ひたり 息をひそめ覗く ひやり 冷たい手はあなたと 同じリング付けて過去をなぞる 見つめているあなたのこと いつまででもこの瞳で 眠りにつく瞬間まで 静かに見つめている 黒い影が 小さな穴を空ける 無数の蛇に 噛まれたかのようだ まだら模様広がってゆく 塞ぐことはとうにやめたよ まるで毒を喰らったように ここから動けずにいる 壊れている 分かっている 「君」はいない どこにもいない 穴の空いた 景色の中 リングが 光っているー 蛇の様に冷たい手を 伸ばしたって触れられない 写真の前で涙を流すあなたへ 餞の言葉を 囚われないように 背中を押して さようならを
