宵が街に降りて 全てを蒼く染める まるで知らない世界に ひとり迷い込んだみたいだ 踵を返して 巧く雑踏に紛れたって いつも無数の視線が 僕を捉えて放さない 息を潜めて 口を噤んで ただ ほんの小さな隙を 待ち侘びている 誰を信じて 何を目指そう? 時折 分からなくなるよ あてもなく彷徨う夜の中に 「おいでよ」 手招くまぼろしを見た 「何もかも投げ捨てて さあ、楽になってしまえよ」 さよなら もう何処にもいない 昨日までの僕よ さよなら もう何処にもいない 昨日までの僕よ いつだって僕を殺すのも 救ってくれるのも 指先一つで放たれた 何気ない言葉だった 吹きすさぶ風のように強く 心を揺さぶるたび 簡単に流されてしまう 自分が嫌いだった あてもなく彷徨う夜の中で 「おいでよ」 手招くまぼろしを背に 「その先へ征くなら決して 振り向いちゃいけないよ」 さよなら おかえり 逃げていた今日よ さよなら もう何処にもいない 昨日までの僕よ 都合の良い 甘いまぼろしは 跡形も無く消えてしまった 嫌気が差すような現実が また始まってゆく 胸はまだ鈍く痛んで 傷は癒えないままだけれど もう一度信じたいと思える何かに 出逢えるまで ここで生きてみようか 生きてみようか さよなら もう何処にもいない 昨日までの僕よ