柔らかい風が頬をなで 今立っている場所に気づく 気づけばこんなに時は経ち 坂道にふたつ伸びる影 今更言うのも変だから あなたには言わないけど ただいま おかえり ごめんね ありがとう 大丈夫? お疲れ様 そしてあなたの名前 それをこの先 誰よりも多く あなたに言う人が 私であったらいいなと思ってる 買い物かごをぶらさげて 今夜のメニューを決めながら 「悪くないね」と笑うあなた 横顔に少し増えたしわ あなたの背中を覗いたら あの日のふたりの声がした おはよう おやすみ ごめんね ありがとう いただきます ごちそうさま そして私の名前 それをこの先 誰よりも多く 言ってくれる 人があなたであったらいいなと 思ってる 嬉しいね よかったね 疲れたね がんばったね 美味しいね 失敗したね そしてふたりの名前 どれもこの先 ひとつでも多く あなたと言うことができたら とってもいいなと思ってる