あなたのこと 誰にも言わなかった 焼けるような この痛みが愛だとしても あなたは望んでなかった 目を逸らして告げる退屈 夕暮れの合図に 聞き慣れた音 あなたの幸せを奪ってまで 手にした場所を愛せない それなら足跡一つ残さず この心から出て行って 私の素肌に触れたことなど シャワーのついで 流れてしまえばいい 忘れて 忘れて 忘れて ただ二人で居られたら良かった それだけが叶わないから 甘い言葉の代わりに 言い訳を聞かせて 覚えのない柔軟剤の香り 真新しいメガネのフレーム 無神経さを 責めたりなんてしないから あなたの帰りを待つ人は ほつれたボタンにさえ 気付かないのに 波風立たない日々を今更 手放せないと言うのでしょう それなら足跡一つ残さず この心から出て行って 夜明けにした約束のことなど 悪い夢でも見たことにするから 忘れて 忘れて 忘れて 手を繋いで歩く ショーウィンドウに映る 二人分の影と温もりが 愛おしく揺れる 不意に抱き竦めて 透き通る目が私を見ている 手放すことを少しも 躊躇わない瞳が 仄暗く甘い朝が 人気のない毛布に溶けている 誰にも言えない願いを一欠片 苦いコーヒーを飲み終わる頃には 忘れて 忘れて 忘れて