薄霧を抜けた先で 誰かの夢が呼応して 時の隙間にこぼれ落ちた やさしい声の響き その美しい輝きは いくつも束ねられ 触れた瞬間解けてゆく 記憶の糸のように 風の調べが胸を撫でる 遠い夜を思い出し ひとりきりの願いごとが まばゆい光にとけた あの頃の夢が雪のように 降り積もる 静かな心 届かぬ想いを抱いたまま 私はまだ ここにいる その儚く散り行く花は 偽りの色々のようで 消せない過去と重なってまた 幻の君に阿る 閉じた瞼の裏に浮かぶ 微笑んだ顔が揺れている 頬に冷たさ涙流れる 微睡みに抗うように あの頃の夢が霞のよに 時の狭間 漂いながら 溶けかけた境界線の先 永遠の中に消えゆく 眠れぬ夜 星は瞬く 届かぬ想い手放すように その影に手を伸ばした もう一度だけ 逢えるなら 名前のないこの世界で 時を越えて咲く祈りを 名前も知らない君へ捧ぐ
