一瞬あとだった 切ったシャッターが逃す ちょっと意地悪そうに笑った キャンディみたいな瞳 早まった呼吸がぼくと きみの心だとわかった 「ねえ、暑いな」 ストロボライト照らした 痣も欲望もぜんぶ 「きみなんか嫌いだ」 背に食い込んだ爪で どうしようもなく愛を知れる ぐずついたぼくらふたりは こんな関係の 捨てかたすら忘れていた 桜の風に吹かれて靡いた長い黒髪 ぼくはまた夢のなかできみの隣 春の陽がさす窓辺のあの席で ふたり声を潜め笑い合う 黄昏色が胸を裂いた 送電線に向かっていま走りだすのだ ねえきっとぼくら 悪い子だった今世は 犯した過ち数え切れないの ストロボライト照らした 瑕も算段も全部 ぼくのきみじゃなく きみのぼくでもなかった この部屋にある何もかもが 一つずつ余った朝 きみのくれた嘘は 愛だってわかったんだ 届け、届け