遠雷のような警鐘が鳴る 勾配の急な県境 蛇腹の道をくぐってる 静まった深夜の峰 線描の林は澄んでるけど 風は湿気を帯びて 粘り気は濃くなっていく 空に放り投げる軍手 錠前のついた山荘で寝転がり 上に探照を焚く 巨大な水槽に浮かんで 波打った雲に消える不安感 赤灯が遠くでチラついて 上擦った声が響く館内 黒い翅が散って誰か言う 奈良の鹿、見に行こうか 舌下に溜まってるしょっぱい唾液 吐き出して飲んだリプトン 足がつかない構想を考えて 皮肉で濁すいつもの午後 続々と集まってくる友人 知らないヤツはいつも2、3人いる 公園 噴水の装置の名称を暫く談義 いや昨日の事を思い出せない 曖昧になってる境界 裾を引きずり歩く日々 熱を帯びてる今だけ丁度ええわ 明滅をしてる照明が 窓から見えて出る玄関 ウィンカーを焚く第二京阪 静脈のように通ってる 萎んで弾ける 憂いない日々 浮つく頭で 走り出した道 陽当たりを遮る 薄い膜を見つめる 黒いインクが滲んで 分厚く埋まっていく 湿気ってるコンクリ 飛び交う野次 力をこめて 振り下ろす右手 傀儡みたいに 規則的な笑い 浮かべてふためく 刻んでく相槌 つまらない舞台に 光らない照明 向かう足は止まらない 緩み切ったトラロープ 胡座かいて前を陣取る 笑えない大法螺とジョーク 冷え切った会話は鋭く 突き刺すタバコ 溜まるポール 明け方の匂いがする 飽きたヤツから散っていく 最後尾、その場を後にする 市民会館、側のビオトープ 向かって県境をまた戻る 意味のない大声は遠く 風切音と共に揺れる 閑散とした山麓に魚群 泥濘の中をずっと泳ぐ 黄色のtextureが目を覆う 歯の隙間から浅い息を吸う