他人の心の中 解りはしない様に 抱えていたはずの機微にさえ 気付けなくなった 猛毒になっていく それなりの愛憎を 飲み込んだままでいられるなら 楽だと思った 朝が来るたび胸が詰まる 無気力さに照らされては足が竦む 「今日も楽しく 普通に生きられる」なんて 冗談を言ってみる 醜く誰かに縋り付いてしまうこと その癖誰かを恨んで妬むこと 優しい悲しみに苛まれ なお蠢いている 平等に痛ましい 世界で 後ろめたい思い出を綺麗に話すこと 空虚な日々を漠然で埋めること そのどれもが 取るに足らない日常になるのに 安堵してしまうことが怖いな 正しい言葉だけで 救えてしまう様な 単純めいた話を見る度に 惨めに思った 理不尽や不条理が ありふれていく今日に 感情が失われてしまう意味に 気付いてしまった 透明に 過ぎ去る中で 取り零したものばかり色付く 「どれも儚くて素晴らしい」なんて 嘘だって知っている 醜く在る姿を 憶える度 目も当てられない傷が増えていく 成す全てが無駄に思えて 仕方がない程 残酷で憎らしい 世界で それでも 何かを信じ続けること それでも 瞳の奥で輝くもの 不確かでも 人を象る日常になっていく 変われないまま こそ怖いな 無機質な呼吸も 昨日と同じ今日も 鮮やかなことを忘れぬ様に 心に仕舞った