この眼 燃やすものだけを 視たい 光捉えるはずの眼が 光放つ瞬間を ぼくは知ってる 眼窩の漏れ光は ルーペみたく火焚くんだ この眼は槍 一点 天を突く 月も夜毎 世を穿つ ああ あァ 嗚呼 この眼宿す一筋の光芒<レイ> 未明の透鏡 陽は射した こわれた光 眼窩奥へ 色彩は可視光の外を知らない 暗転 目蓋裏で香り出す 涙跡<ペトリコール> この眼は幕 一線 隔たれた 望まれない再上映<リバイバル> 内燃の臓が心なら 目玉粒は外燃の器官さ 対岸の火事や此方へおいで ねえ 陽の玉 瞳の孔の奥 刺して やわな玉 弾け飛んでしまうよ こんな 熱いもの宿しちゃいらんない 着火せよ 風景 陽炎すら逃げ出すさ なして この芯に火を灯せる? 蜻蛉は微命 何の因果か ──── ああ あァ 嗚呼 唖々 ────────── その眼潰す一筋の光芒 この眼 燃やすものだけを 視たい 光湛えるはずの眼が 光閉ざす瞬間を きみは知ってか 炎天くぐる光の束が見つめている あの目は銛 一瞥 球を突く 「瞳突き」と嘲笑う火鞠 盲 瞳も孔も無い 仕舞いなら 光捉えるはずの眼も 細め凝らせど見損ねては何を知る