右目だけ瞑った太陽が 割れそうな背中を琥珀にしてくれた 僕はまだ春に浸りたくて ひたすらに言葉を帆布に刺繍した あなたの周りに群がった 羊歯を旅籠に詰めてるの 声には出せなかったさよならと 桜を踏み町へと駆け出した 新しいベッドはふかふかで 僕の洗剤の匂いだけがする ああ今年もああ今年も 静かに夏が来る 不自然に思えた出来事も 今はもう掻い摘み話せる現事 灰色の影も花になって 眼に映る人影が音を奏でている ざわめく夜が遠くなって 安らぐ懈怠と共に 砂の舞う思い出になりました 優しい風がまだ吹いてるみたい 新しい涙はふかふかで 僕の洗剤の匂いだけがして ねえその声も目も掌も 背丈の誤差も もうすぐ忘れられるのかな 声には出せなかったさよならと 桜を踏み町へと駆け出した 新しいベッドはふかふかで 僕の洗剤の匂いだけがする ああ今年もああ今年も 静かに夏が来る