湿った南風から微かに火薬香るから 昼間泳いだプールがまだ 身体から離れずにいるままだ 気持ちのいい夕方に誘われ 焼けた肌冷ますため歩いて 微睡に抱かれ 溶けてなくなればいいな なんておざなり ぼんやりと祭り囃子が聞こえる ガードレールに腰を下ろし 今し方買った缶ビール飲んで 戻らない何かを数えていた 曖昧だった態度がぶり返す うんざりしながら飲むぬるい 溺れたように魚が踊り出し 祭りとはしゃぐ 夏の子供はお化けだね タバコがないな 自販機を探さないとな 僕なりに努力した四半世紀は あなたと切り離せないみたいだな 気がつくと知らない道だった アスファルトだけは地続きだった 上半分だけ違う生き物のようさ 僕はまだ明日に行けずに このまま何もかもが 止まればいいだなんて ここで確かなものなのはひとつだけ 「僕だけが痛い」 誰かを残し祭り囃子は よりプリミティブに 決別出来ない残像で 歪に膨らんだ僕は 「不感症じゃない!」 焦りから足がブルった 誰もいない部屋で 鳴り出したままの電話が もどかしいだけだよ 曖昧だった態度で振り返る うんざりするほど今も暑く 子供らが狂いだし走り出す ポツンと残された僕も 夏の夜のお化けだね 赤黒く染まる空が あざみたいに見えたから 化け物は帰る ビールで詰まる 喉の奥から陽炎が揺れてる 「僕は痛い」