月夜の明るい晩に その人は歌っていた 月光に照らされた 美しい顔立ちに ぼんやりと月眺めてた マーメイドは恋に落ち 昼も夜も彼を 見つめていた 彼のそばに 行きたいけれど 人魚の姿では 無理でしょう 人間になりたい 彼に愛されたいのよ 覚悟を決め 私をどうか人間の姿にして下さい 海の奥深く暮らす魔女に 禁忌の願い事 条件飲んで尾ひれを 失ったマーメイド 声も奪われ 歩くたび走る激痛 それでも彼のそばに行けるのなら 言葉を話さぬ少女 不思議に思う王子 「初恋の人によく似ている」 と言われて 浜辺で一緒にいても 会話もないまま過ぎ 夜になると彼は 帰っていった 悲しむ マーメイドの前に ナイフを持った魔女が 現れる 彼の血を浴びれば 再び海の楽園に 戻れるよと どうせ愛されないなら この手であなた殺すわ 人の姿になっても それだけじゃ足りないのでしょう 自分勝手な願いと 分かってはいるけれど 神様許して下さい この私の罪 報われない人生など 耐えられないの 月の明りに紛れて 忍び込むマーメイド 王子がドアを開けた瞬間 最後の激痛をこらえて 走り出す あなたは自分を愛した人を 殺してしまったの 彼は人魚の少女に初恋をしたと 言っていた 再び現れたなら かなわないと思ってたわ だって人魚のあなた 美しかったから 真実を知って崩れ落ちる 赤いマーメイド 言葉話せてたなら 人魚の姿でいたなら ありのままの自分を恐れていた私は かつての友達さえ 傷つけてしまった 人魚は彷徨い続ける 悲しみの海を