右も左も分からずに 碁盤の目には目が回る 淡く光る川の淵 あなたは歌ってた 鍵が空いたまんまのドアを くぐればいつものあの匂い ふざけた真面目なお話を あなたは歌ってた 夜明けの自転車 冷えた風を征く 鮮明なところまで あの日のことも あの日のことも 焦る私を追い越す 追い越す 焦げ付くような 掠れた声に 連れられて 連れられて なんだかお腹が空いたねと 思い出したように言う 白い息は雲となり 天国の道になる 夜明けの自転車 冷えた風を征く 透明なところまで あの日のことも あの日のことも 浅い眠りに震える 震える ひりつくような 弱い背中に 連れられて 連れられて はためく窓辺 光の隙間 揺れる 揺れる 揺れている あの日のことも あの日のことも 焦る私はこのまま このまま 焦げ付くような掠れた声に 連れられて 連れられて 連れられて