過ぎてゆく日々に 幻を見た 貴女が紡ぐ唄が 永遠に絶えない朧の幸福 それは炎ほど熱くもなくて けれども決して風に吹かれ 消えてしまうよな 儚い傾慕ではなかった ただ陽だまりのように 身を委ねれば心地がよくて 日常に溶けて隣に存在することに 言を俟たない、そんな 耳障りな声囀る金糸雀の羽根 捥いでも贖えない罪は 風が翠に薫る頃 温い血を流す 貴女に掛けられなかった言葉 まだ 甘くたおやかな鍵盤の音に レースを潤かす媚薬のような詩に 恋をしてた 破かれた手紙綴った文字は今も 行き場を無くし彷徨っている もう二度と届かないこと 知っているから せめて一縷の餞を 酷薄のこの離別に見る淡い夢 ただ清く白く無垢な祈り せめて遙の楽園 呼吸をしている 貴女が幸せでありますように