Track by故やす子
あの子の落としたピアス いくつもの手が、大事そうに追う 白く、丸く、誠実そうな真珠 私が落としたピアスは歪で、 落とす前から歪だった 今はどこにあるのかな たぶんそこらへんの溝 よく磨かれた日はあっただろうか どうしたって尖っていて、 あの子をいつも傷つけた 正しくも美しくもなれず、 せめて優しいふりはする そうすることで多少は、と願う でも、 値段をつけるのは私じゃないのだ 価値はなくとも宝石だと言う 腐っても鯛だと言う 価値もなく、腐っている 答えはもう、出ているじゃないか