夕暮れの縁側 きみの横顔が 茜にとけて なにも言えなくなる ふいに聞こえた ひぐらしの声 胸の奥に 夏の終わりが落ちてきた 笑いあった日々が 幻のようで 指先だけが 今もあたたかい さよならはまだ言わないで 花火の煙の匂いが ほら 遠い記憶を くすぐってく 少し長くなった影 並んでいたあの時を わたしはまだ 手放せずにいる 軒先をくすぐる 冷え始めた風 うすく羽織ったシャツに きみの手が触れた いつか変わること 知っていたのに どうしてこんなに 苦しくなるの 交わした言葉が やさしすぎたから 置いてきた夢が まぶたを焦がす もう一度だけ 笑って さよならの代わりにそっと ねえ 何か残せたらいいのに 季節(とき)は残酷なくらい 正しく巡っていく わたしの声 届かなくなる前に 君がいた夏のページ 破かずに閉じたまま また来年、なんてもう 言えないけど さよならは優しくて 忘れられるように背中を押す あの日と同じ 空の色で 終わりかけの夏の中 消えていく花のように 静かにただ 微笑んでいたい
