地吹雪の舞い散る夜道 流離いの旅人一人 白銀の迷宮呑まれ 一時の庵を叩く 寒気が 冷気が 怖気が 孤独が 不安が 恐怖が 魂の叫びに呼ばれ 音もなく扉が開く 雪のように冷たい心 冬のように閉ざした心 誰も溶かせはしない 雪女 しんしんと降り積む雪が 人は皆一人と語る かじかんだ手先でなぞる 過ぎ去った恋路の記憶 睦言 接吻 抱擁 苦悩が 悔悟が 懺悔が 凍てついた微笑と吐息 ゆっくりと囲炉裏が消える 雪のように冷たい心 冬のように閉ざした心 誰も溶かせはしない 雪女 白い 白い 雪が 積もる 寒い 寒い 夜が 更ける こんこんと止まない雪は 煩悩も氷らすだろう とめどない火宅の人に 安らぎを持たらす女 吹雪が 嵐が 雪崩が 青春 情熱 失望 恐ろしい美貌の顔で 声立てず唇奪う 雪のように冷たい心 冬のように閉ざした心 誰も溶かせはしない 雪女