寝不足の私 起こしに来た猫 ある朝事件は起きた 大きなくしゃみが 身体伝う瞬間 私とチョコは入れ替わってしまった まだ夢の中と 疑う私は 肉球でふさふさの顔こねる 取り敢えず 散歩でもしてみましょうか 平日の街は少し違う景色 誰もが見えない悩み 隠し生きる 私だって同じだわ 吾輩は猫である 名前はまだない恋をしている 眠れない夜越えて 吾輩は猫である 名前もまだ知らない人なのに 来週はもうバレンタイン どうすればいいのか 問題は山積みで 元に戻るには…うーん のんきな人だって 心叩いたら どこか悲しい音が鳴り響くね 夕陽の街角 いつかだれもが死んじゃうのに 役割探すわ 背後から「チョコ」と名を 呼ぶ声がして 振り向けば眠れない原因のキミ 慣れた仕草で撫でられ まさか猫の知り合い 首のネームタグ揺れてた 吾輩は猫である 名前はまだない恋は図らず 夢見た手に包まれ 吾輩は猫である 名前もまだ知らないこの人も 寂し気な目をしてた ふと見た向こうの交差点 妙にぎこちない足取り 赤信号横切る私の身体、チョコだわ スピード上げた車が迫る時 あなたの腕をすり抜けて走ってた お願い間に合って 勢いつけ踏み切って 持てる力すべてぶつけ 私は私を突き飛ばした 車道の片隅で 今朝のままのパジャマで 私は目を覚ました あなたが抱き上げた くたりとしたチョコは いつもより冷たい 急がなきゃ 陽が落ちゆく街の 人波をかきわけ泳いだ ふたり祈るように 病院の待合であなたが優しくて 私は声をあげて泣いたの 来週はもうバレンタイン