通り過ぎゆく香りは ふたりの距離を保って いつもより遠回り道を 小さな歩幅でゆく もう少しだけ 時間を止めて 伝えるべき言葉たちは どうして どうして あの日の夕陽は眩しくて 薄目を開けながら ふたつの影を追う 朧げな記憶 遠い空 やるせない想いは 夕陽の上を歩く 先を歩くあなたは 時折立ち止まって 何事もないように歩く 後ろ姿を見つめる もう一度だけ 振り向いたなら 伝えるべき言葉たちは どうして どうして あなたの笑顔が眩しくて 目を影に落とした 茜色 風が舞う 朧げな記憶 遠い空 鳴り止まない鼓動は 夕陽の上を駆ける 水面が揺れ動く 艶やかに煌めく 宝石のよう あなたは微笑んだ 唇を震わせて 潤んだ瞳の奥 行くんだあなたは遠く 今日もまた夕陽は眩しくて 薄目を開けながら ひとつの影を追う 朧げな記憶 遠い空 戻らない時間は 夕陽の上を辿る