古い教会で賛美歌を 聴くのが好きだった 古い教会の錆びた扉は きちんと閉まらなくて 冬の隙間風が入ってきた コートが脱げなかった 聴き入ってる間はそんなことも 忘れてしまうのだけど 古い教会で小さな 結婚式があった 笑う顔が寂しげな花嫁は 春色のブーケを妹に投げた このパイプオルガンは誰が 弾いているんだろう? 聴き入ってる間だけは 孤独が和らいで行くのだけど 何の為に生まれてきて 何の為に生きてるんだろう レンガの向こう 沈んでゆく夕日に問いかけて 古い教会のステンドガラスは ひどく埃をかぶり 真夏の日射しも届かないから 誰もが涼みに訪れてた さっきからこっちばかり見てる 男の子と目が合った ポケットからガムを そっと差し出すと 「ミントのガムは苦手さ」 と言って席を立ってしまったけれど (♪) 何を信じ 誰かを愛し 何処へ向かえばいいんだろう レンガの向こう 逃げてゆく夕日に笑われて 時が過ぎて 古い教会が壊される日が来た ブルドーザーは枯れ葉と一緒に 年老いたレンガをたいらげた 今日この町に17時の鐘が 初めて鳴らなかった 教会が壊されてくのを 見て町中の人は泣いた いつの日かこの場所に 教会があったことすら 誰もがみんな 忘れてしまうのだけど…