深海6000メートルの 土砂降りが身体を突き刺す 大丈夫のおまじない 喉の奥を塞いでく 涙で溜まった水槽の中を 泳ぐ姿が美しいという 海よりも広く浅い憧れは 酸欠でクラクラ 慣れたもんだ 湿度の高い会話と 愛想笑いは泡になって 心の内はまるで 目を開けて眠る魚 水面に光が差し込み 魚影が綺麗だと思ったのは ずいぶん昔の話だ もっと器用に泳げたら 人間と恋に落ちた人魚が 最後は身投げをしたという とんだ結末の御伽話に 出血でドキドキ いつかはそう 同じ温度でふざけて 押しては返す波のように 笑っていたい 慣れたもんだ 湿度の高い会話と 愛想笑いは泡になって 心の内はまるで 目を開けて眠る魚