茜色の宮殿の下で 宴の日の鐘が鳴る 大人達は賑やかだけれど 妾は飾りものじゃない 煌びやかな園庭には 日常に堕ちた 溜息が続いた 不意に春色の 風を感じた 気付いた時には 枷を外してた 見渡す景色は 牧歌的 遊牧民の 少年が 初めての 上洛で 桃源郷を 見つけた 空はまるで 真鍮の様 街の風は 夕凪にも似て 見るもの全て 焦がれている そんな瞬間に 視線が重なる 勝気な皇女 様は手を 取り 街を魅せてあげると囁く 僕は 訳も分からないまま 連れられてく様に駆け出す 偶然の不思議の森みたい お互いの事など分からない でも 景色を見つめる瞳に いつしか 知らぬ間に焦がれてた 紅と蒼が 空の下の 水平線に 混じり始めていた また逢えるよね 囁く時 君の幻影は いつしか消えてた あれから経験を重ねて いつしか想い人も掠れて 蜃気楼の様な記憶も 日常の猥雑さに消えてた 風の噂話に聞こえた 皇女様の祝い事の記録 周りには浮かれてみせるけど 何故か胸の奥が疼いた