突然、君が浮いた。 ほんの3センチ浮いた 「どうして浮いたのかな?」なんて はじめは笑ってた 突然、君が浮いた。 今度は10センチ浮いた 「このまま鳥になろう」なんて はじめは笑ってた 嬉しそうな顔見て 不安になった 「大丈夫、赤いヒモを 結わえておくから」 ふわり ふわり ぎこちなく 動く君見て なぜか 出会ったころのふたりの 姿重ねて消した 今日も 君が浮いた。 わたしの肩まで浮いた 「どこまで行けるかな」なんて 得意げに笑ってる また今日、君が浮いた。 あの木より高く浮いた 「このまま宇宙まで行こう」なんて 聞こえないフリした 飛んでいってしまいそうで 胸が痛くなった 「大丈夫、赤いヒモを 垂らしておくから」 ふわり ふわり 風のように 泳ぐ君見てたら つい 『そちらの眺めはどうですか?』 訊いて どうする…わたし。 伸びきってた赤いヒモと それを引くわたしの手と …なんかさ もう、ね そう これじゃ まるで風船じゃないか。 子供のころ 大好きだった風船はいつも 気付けばふわふわ どこかに飛んで消えてしまった 手を離してしまったのか ヒモがほつれてしまったのか わからないの だけどもう 手を離してしまったのか ヒモがほつれてしまったのか わからないの だけどもう 君は どこかへ消えた もっと大切に掴んでれば 良かったのかな? 本当は怖かったんだ そのまま しぼんでしまう事のほうが。