笑顔で振り返った彼女は ずっと夢を見てたらしい まだ君ぐらいの頃の話だ 暖炉の前で子供に聞かせた 読みかけの本に挟んでた 栞はどこかにいったみたいだ あぁもうまた初めからか そう言って見たことない表紙を ジッと見つめていたんだ 明日はきっと晴れるよと そばかすの少年が呟いた ずっと描いていたこのドラマを ずっと 見てきたはずの自分がいなくて おとぎ話が聞きたいわけじゃない 本当のことを言ってほしいだけ 頷いていた 何もわからないまま 俯いていた 何もわからないから ブリキの人形がこっち見て笑ってる あぁそうさ もうとっくにわかってる 忘れないでくれ もう一度だけ ノイズ 混じりのあの美しいワンシーンを 消えないでくれ あと少しだけ かかりそうなんだ その時 鐘が鳴った ぼんやりと浮かぶ少年の影 馬鹿だな まだ泣いてるの? 震える肩に積もる奇跡が 世界を優しく包み込む ずっと描いていたこのドラマで ずっと探していた君を見つけて おとぎ話が聞きたいわけじゃない ただ名前を呼んでほしいだけ 空白を 埋めるように 空を舞っている 青い音譜が彩る聖なる夜だ 輝いてた光もおどけたように揺れて こういうことにしようと 「夢を見てた」