昭和レモンの午後

歌詞

シトラスの香りが風に乗って レコードの針が午後をなぞる 揺れるカーテン光と影 昭和レモンの懐かしい午後 あの窓際に座ると決めた あなたが好きだった場所 キャラメル色のメニューをめくり レモンティーをひとつだけ 制服の胸元に残るぬくもり 曖昧な関係が愛しかった 微笑むだけで世界が染まる たったそれだけそれだけで良かった レモンの午後に咲いた記憶 酸っぱくて甘いふたりの景色 「好きです」と言えなかった言葉 シトラスの風に溶かした午後 喫茶店のカウンター越しに 見かけた誰かの横顔 あの日のあなたに少し似ていて 胸がつまる午後三時 流れるラジオ古いポップス あなたが口ずさんだメロディ 青春のピントはぼやけても 香りだけは消えないものね レモンの午後に落とした涙 グラスのしずくが陽に光る 「さよなら」も「またね」 もなかった 静かな約束午後のまぼろし ガラス越しの雲 揺れるレモンの輪切り 時計は止まらず でも心はあの日のまま レモンの午後に閉じた世界 大人になることが怖かった あなたの笑顔は遠いレモネード 甘くてちょっと苦いまま シトラスの風がドアを揺らす 昭和レモンの午後がまた来る ひと口の記憶微笑んで消える