始まりの部屋で 僕らは互いに向かいあった おかしいな 君は どう見ても僕で怖くなった 「おはよう」語り出す 「君は僕の描くストーリーを 旅して生きてく」 「言うなれば君は主人公さ」 パッと目をあければ そこは戦場だった 右手で強く宙を切って剣を振る 誰かの血を浴びて雨と空を仰いだ 「ありふれた手品でもいいんだよ 騙されてみてよ 狂おしくなったり 叫んだりしようよ」 悲しみが頬を伝うけど やがて霞んで 【次回へと続く】 ここはどこだ? 幾つもの旅を 終えて僕はまた次へ向かう 刻みつけた出会いと別れを 何度だって忘れて 目を開けた僕の手を そっと握る女性(ひと) 愛しいその目が濡れて僕を映す 「ありふれた手品でもいいんだよ 騙されてみてよ 恥ずかしくなったり 騒いだりしようよ」 愛しさが胸で揺れたけど やがて霞んで 【次回へと続く】 始まりの部屋で 僕らは互いに向かいあった 「おかえり」語り出す 「君はもう自由だ サヨナラさ」 「目覚めたらすべてを忘れて 元通りだよ 懐かしくなったり 痛んだりしないよ」 「ありふれた手品には意味を 君がつけなよ」 「さあ行こうか」 目が覚めて 頬を伝うこの涙の理由を でも胸のどこかで知っているんだ ありふれた物語に今 名前をつけるよ 続きを生きるよ