茂みを分けて香る風に身を任せて 騒ぐ青葉の中に小さな息を聞け 文明の営みに疲れて逃げてきた 貧弱な身体は役に立たず 立ち尽く す 何を求め 何を放す 働くだけが術では無い 百年尚動かずして その樹はただそこに立っているだけ 生きて生きてただ生きる 君も彼も虫けら共も 鳴いて鳴いてただ鳴くだけが 生業の蝉の如く 夜は出向くな 感じるだろう森の気 配が 容赦なく殺す事を仄めかすの様に 見栄えなどは意味を持たぬ ありのままを使う他ない 一秒だけ意識澄ませ そこに獣が居たのならば尚 足掻け足掻けただ足掻け そこが君の生死の境 喰らい喰らいただ喰らうだけで 生き抜く獅子の如く 日照りを避け涼む 虫を避け払う 雲を見て測る 次の夏をただ待つ 生きて生きてただ生きる 君も彼も虫けらの様に 泣いて泣いてただ泣くだけが 生業の君を生きる 茂みを分けて香る風に身を任せて 騒ぐ青葉の中に小さな息を聞け