窓から通り過ぎていった風がもう慣 れていた湿気散らす 鳥と虫 たまに通る車の距離のある 音に浸る 耳とは裏腹に焦った衷を抑えた 何が楽しくて弾んでたんだろう いつからかこの時期になると 記憶から季節を探る癖がついた 陽の高い明るい夕方 空を覗いた 色付いた雲を見上げては少し考えた 屋根を叩き始めた雨音 部屋を包み すぐに止んだ 知らない街の雨の知らせを 他人事 聞き流した 何処か遠くへ行ってしまいたい 思う心は何処かへ飛んで行った 今は空っぽの身体ごと季節に預けて 大切な何か捨てた気分で眠る 陽が沈むことに気付かずに部屋は暗 く ヒグラシが鳴いているうちは時は動 かない 季節外れ 蛍火 生きるものも移りゆ く