退化してく 記憶を 飲み干した アスファルト 春になったけれど 冷たい すきま風が通り過ぎてゆく 誰にも気づかれないまま 捌け口のない感情が 狭い花瓶の中、ただ息をしてる シグナルみたいに呟いた 「君はまるで造花のようだった」 昨日のことなど忘れてしまった 生け花のように綺麗になれたら 難しいことなど忘れてしまいたい 春になればまた思い出すだろう 捌け口のない想像を その先のことは知らずにいる 歩き慣れた暗い夜道 小さく遠く霞んで消えてゆく 綺麗ね、綺麗ね、嫌いだ 花びら、ひとつ、落ちてゆく 昨日のことなど忘れてしまった 春になればまた思い出すだろう