今年も自ら夏に飛び込む 前髪が汗でおでこにくっつく だらだらと扇風機に声をかける 誰かがいないことに気付かされる 人肌恋しくないこの季節に 人肌まで上がる気温と 最高の夏にしようねって 言っていた君が 短い髪を撫でた事、 夏の音を聴いた事 くすんだ紫陽花が 出番を終えたように 伝えきれなかった事、 まだ忘れられていない事 もういない夏に飛び込んで 溺れてしまうから 逃げ水の向こうの入道雲が ただただ僕を楽観していた 六度八分平熱高めの声が響いて つたった汗を乾かした、 そして唾を飲み込む 色濃く映ってた思い出が ポロポロと溢れて行った 紫陽花柄の浴衣、涼しげな首元 クラつくほどの暑さの中で 笑っていた そんな君と居たかった 短い髪を撫でた事、 夏の音を聴いた事 くすんだ紫陽花が 出番を終えたように 伝えきれなかった事、 まだ忘れられていない事 もういない夏に飛び込んで 溺れてしまうから