今日此処を発つ 大人は眠っている 砂が溢れた 割れたオリフィスから コンクリートの濡れた匂い あらゆる権利が守られない夏 君の肌が水に濡れて光るのをまた見逃した 抱えた人形 綿が飛び出している 落ちた白い血が 乾いて砂に変わっていく 匂い立つ古い臓器を 引き摺って進む音が聞こえる 歪な影を思わせる轍をなぞって歩いた 「出して」 繋いだ幼い両手を 引き千切られても構わないさ 帰る電車はもうなくなる 「僕等は行かなくちゃ」 匂い立つ古い臓器を 引き摺って進む音も聞こえなくなったよ 君の髪が風に揺れて光るのをまた見逃した