風を切って鈍く鉄塔 吹き抜けていくほど 乾いた日々は伽藍堂だ 奪われていく温度 遥か上空 荒い息で この胸を刺す鼓動 何かが今光った 掴みかけた手 吹き捲く風の中 砂が舞って響く雑踏 黒い影は頭上 唸りを上げ 横切った 揺れる空 遊歩道 今もまだ鳴り止まない 夢の続きを追う 垂れ込めたモノクローム どこまで行くのか知らないまま 失った空を覆い尽くすように 緩慢な午後の低い雲 引き寄せられるように まだ見つからないのに 浮かぶ 面影の迷子 同じ道を 夕暮れの鐘がこだまする 流れて行く景色 夢の中眠る街 辿る 元いた場所もいつしか忘れ うつろな日々に輪を描く あてどなく彷徨い まだ見つからないのに 遠く 夕闇の空は風を集めて 錆びれた塔を打ち鳴らす 廻る一羽の鳥 気が付けばまた一人 風吹く帰り道 いつかと同じように 辿る