他愛のない雑談の隙間また空気が 歪む 「あ、それ私も持ってるよ」 「知り合いにすごい人がいてさ」 持ってもいないブランド 会ったこともない名前 反射神経だけで虚像を空中に描いた みんなの視線が 集まるその一瞬の快感と 直後に襲いかかる 冷たい汗の温度差 ポケットの中で 震える自分の手 バレてない? ねえ、今の間は何? テーブルの下誰かのスマホが光る 検索してるんでしょう? 私のちっぽけな嘘を 「へえ、 そうなんだ」って繰り返す相槌が AIによる事実確認 ーファクトチェックーの合図に 聞こえる Liar in the mirror, staring back at me 本当の私じゃこの 場所にいられないの? 笑顔で頷くあなたたちの瞳の奥が 読めなくて 優しく泳がされている 水槽の中のピエロ SNSに上げた加工だらけの日常 「充実してるね」 のコメントに安堵しては怯える 本当はコンビニの袋ぶら下げて歩く 夜道なのに キラキラしたフィルターで 孤独を塗りつぶした 「すごいね」って言われるたび 逃げ場がなくなる 等身大の自分がどんどん 透明になっていく やめようって誓ったのに 昨日の日記で また息をするように 見栄を張って自分を守る 通知が来るのか怖い 暴かれるのが怖い 積み上げたジェンガが ぐらぐらとゆれている 何が本当だったか もう自分でもわからない プライドという名のガラクタに 押し潰されそう Drowning in the fake praise, suffocating now メッキが剥がれる音を ずっと待っているんでしょう? 「嘘つき」 と指差して笑ってくれたほうが この生ぬるい監視の目よりずっと マシだわ ねえ、聞いて 私の中身なんて何にもないの 空っぽの部屋で膝を抱えているだけ そう言えたら楽になれるのに また「平気だよ」って 上塗りをしてしまう Liar in the mirror, staring back at me 本当の私じゃ この場所にいられないの? 笑顔で頷くあなたたちの瞳の奥が 読めなくて 優しく泳がされている 水槽の中のピエロ 解散した後の 静寂が耳に痛い スマホのブルーライトだけが 私の真実 嘘つきは泥棒の始まりじゃなくて 孤独の始まりだったんだ
