地面ばかり見て歩いていた僕は 上の青さに気付かなくて 馬鹿みたいに 闇雲に探していた 白線の上に立って 流れる文字を追う 踏み出しそうになる足は 気付けば脆くも崩れて 微かに匂う君の声が 風になびいていた 湿気た顔をして生きている僕は 色の多さに気付けなくて 明暗さえも分からなくなっていた 膝をつき座り込んで 流れた水は灰 ピントの合わない視界は 焼きついたように熱くて 久しく見上げた 君の瞳は 滲んだ青だった いつからだろう 辺りを見回す余裕すら 忘れてしまっていた 針のような形をしたまま 僕らは何かになろうとした 優しく笑った君が 手のひらに雪解けを つつみこんでいた 僕には それが唯一の救いだった