誰もこっちを向いてはくれません 一年目の春 立ち尽くす私 道行く人々は 日々を追いかけ 今日一日でも 確かであれと願う わずかにのぞいた 雨上りの空を見て 笑顔を作って “どうですか?”と 問いかける 色んな事があり 愛さえ見失う それでも 誰かと触れ合えば そうだ 元気ですよと 答えよう 風よ運べよ遠い人へこの便り 二年目の夏 涙ともらい水 幸福の色は 陽に焼けた肌の色 唇に浮かんだ 言葉は潮の味 出会いや別れに 慣れてはきたけど 一人の重さが 誰にも伝わらず どこかへ旅立てば ふり返りはしない それでもこの町に 心をしずめたい そうだ元気ですよと 答えたい 夕暮れ時には想いがかけめぐり 三度目の秋に 何かが揺れている 時間をとめても 過ぎ行くものたちは はるかな海原に ただよい夢と散る かすかに聞こえた やさしさの歌声は 友や家族の 手招きほどなつかしく 木の葉にうずもれて 季節に身を任かす それでも 私は私であるために そうだ 元気ですよと 答えたい 自由でありたい心のままがいい 四年目の冬に 寒さを拒むまい どれだけ歩いたか 考えるよりも しるべ無き明日に 向かって進みたい あなたの人生が いくつもの旅を経て 帰る日来れば 笑って迎えたい 私も今また 船出の時です 言葉を選んで 渡すより そうだ 元気ですよと 答えよう