少しずつ長くなる夏と冬 挟まれた春と秋 遠慮なく赤い西の空から 青が濃くなる東の方へ 時折タクシーが私を追い越す あの世へ先へと急ぐよう 他愛がないね 餓鬼の遊びみたいね むすんでひらいて 手をうって、手を上に 喩えて、揺れる花に 喩えて、靡く髪に 喩えて、私が忘れないように 喩えて、君の話 喩えて、分かるように 喩えて、私が忘れないように 国道沿い、意味もなく走ったら くるぶし切って血が出た 乾いた風に傷を撫でさせて 髪に手櫛を通した 喩えて、伸びる影に 喩えて、波の形 喩えて、私が忘れないように 喩えて、雨の香り 喩えて、春の嵐 喩えて、私が忘れないように 喩えて、枯れた音に 喩えて、秋の日差し 喩えて、私が忘れないように 教えて、君の話 教えて、分かるように 忘れて、あなたは今のままで