「東京の中心で 人気じゃなきゃ無理だ」と 歌すら聴かず通り過ぎる親父が 昼下がりの路上で吐き出した言葉に 「田舎もんが何を言うやら」と 揚げ足すら取れない私は 空っ風吹く人だかりの中 立ち尽くした 悔しい気持ちとは裏腹で 出来ないことに 理由をこじつけて知らん顔 ひとつ、たったひとつだけ 腹を括ろうと決めたなら なじられ、しなびれても くだらないことに拘るな 「お前の代わりなんて いくらでもいる」と 野心をこてんぱんにする言葉は 都会のビル風よりも鋭利で 肌を刺してくる 「そんなのどうせ脅しでしょ?!」と 口先では言える私も 自分らしさという不確かなものに とらわれてる サブカルな感性に憧れている いつまで性に合わないことばかり するのかい? ひとつ、たったひとつだけ 腹を括ろうと決めたなら なじられ、しなびれても くだらないことに拘るな 「余計な仕事を増やすな」と 出来損ないの私を罵る言葉は 俯いていても睨みつけてくる 「どうせ、どうせ、どうせ」と 投げやりになって ゴマすりばかりするのが なけなしの金を叩いて 買ったものよりも 大切で 心ん中で誰かを 残念な人だと馬鹿にするだけ 虚しくなるものさ ひとつ、たったひとつだけ 腹を括ろうと決めたなら なじられ、しなびれても くだらないことに拘るな