息 惑い 峰を超えてゆく 震える台地から光が隠れて 目は 変わる星をなぞるように啄む 砂漠に花を放たれた時代の子 息 惑い 峰を超えてゆく 離れ 口を噤む ひとひらの手 墓場が 形見が 夙に咲いたら 赤らむ息吹のそよぐ愛しさを 右と左から覆い被せてみる 華やぐ下町の消えゆく眩しさを すぐに閉じ込めて 視界は額の中 霧 深く 谷を超えてゆく 囁く山肌が橋を揺らす 足先 果てぬ星を探るように憐れむ 荒地に脛を穿たれた世界の子 霧 深く 谷を超えてゆく 重ね 時を臨む ひとつぶの根 朝日も 魚も 風にさよなら 白む息継ぎの温い儚さを 右と左から包み放してやる 輝ける都の溶けゆく虚しさを ここに掴み取って 匂いは額の中 離さないで 額の中