夕方六時 予定が消えた 「ごめん」の文字を閉じて改札へ まっすぐ帰る理由もないから 知らない出口を選んでみる ヒールの音と信号の青 ガラスの向こう 知らない店 ひとりですか、と聞かれてひとつ 窓際の席に鞄を置いた 空いた時間を 埋めなくてもいい 何もない夜が 少しきれいだ 未定でいい 今夜くらい 行き先なんて決めなくていい 曲がった角に灯りがあれば それだけでちょっと行ってみたい 未定でいい 私くらい 誰かの予定にならなくていい 帰りたくなったら帰ればいいし まだ歩きたいなら もう少し 返信ひとつ 書いては消して 結局「またね」だけ送った 終わった恋を惜しむほどには 今日の夜風が気持ちよすぎる 本屋に寄って一冊選ぶ 買う理由なんてタイトルだけ 未来の話は明日にして 今夜は今夜を持って帰る 決めたことばかり 守っていたら 知らない私に 会えない気がした 未定でいい 今夜くらい 正しい道じゃなくてもいい 遠回りした街の明かりが いつもより少し近く見える 未定でいい 私くらい 昨日の答えに縛られなくていい 帰りたくなったら帰ればいいし まだ笑えるなら もう少し
