地に落ちて身に沁みる夕闇の 行く先はどこなのだろう とめどなく溢れ出す虚しさに 花弁(はなびら)が色褪せてく おやすみも おはようも 行ってきますも 大好きだよも ありがとうも ごめんねも すぐそばでずっと聞いていたかった 私を呼ぶ声も もう記憶の中だけのもの いつかそんな日々も紫陽花のように また蘇ったら良いのに 滑り落ちる雫は宝石のよう あてどなくどこに行くの 紫や藍の可憐な水の器 この想いも受け止めて ゆらゆらゆらゆら しぼむ萼に ゆらゆらゆらゆら あの日重ね 季節が移りゆくように 変わらないものなどないけれど 「これはそうじゃない」と 信じたかった おかえりも ただいまも いただきますも ごちそうさまも 秘密の話も ぜんぶ一方通行になった 笑顔も香りも もう記憶の中だけのもの いつかそんな日々も幻のように 忘れてしまうのだろうか いつまでも何度でも水をあげよう いつまでも何度でも夢を見よう 消えてしまわないように 枯れてしまわないように 戸惑いの表情も まっすぐに云う愛の言葉も はにかんだ仕草も すぐそばでずっと見ていたかった 泣き顔も体温も もう記憶の中だけのもの いつかそんな日々も紫陽花のように また蘇るように いつまでも何度でも水をあげよう いつまでも何度でも夢を見よう 消えてしまわないように 枯れてしまわないように