農夫の女はあきあきしてた もう何年も繰り返している 朝から晩まで畑の草むしり 土いじり 汗まみれ 農夫の女は憧れていた 毎晩読んでいる詩人の男に ロマンチックなその言葉に 詩人の主人公に 農夫の女は街へ下りた 本屋へ詩人の詩を買いに それは奇跡 詩人と出会い 畑へは帰らなかった 農夫の女は愛された 素敵な言葉に酔わされながら 憧れてた生活 汚れた服を脱ぎ ドレスを着せられた 農夫の女は疑った 食事中でもメモに書き取る言葉を 言葉だけで生きている詩人が メモ用紙に見えた 農夫の女は畑へ帰る 3年ぶりバスから見た景色 農夫は独りで畑仕事 女はバスを降り農夫のそばへ 農夫は汗を拭き 昔とかわらない低い声で呟いた “おかえり”“ただいま” 女は着替えて草むしり 農夫は語らず 女は盲目 百ある詩人の言葉より たった一言 農夫の言葉 農夫の女は詩人の女 農夫の女は詩人の女 詩人の女は農夫の女