人里離れた 夏の山の麓 神社の影から 静かな森へ 誰も通らない 脇道で見つけた 名も無き塚にも 蝶が寄り添う けれど 僕は独りきり 木漏れ陽の下 ただ擦り抜ける風のように 隙間の空を仰ぐだけで 何もかも全てが 視えていると思っていた 届かなくても 背中預けた譲り葉の樹 落ちる葉が絡んだ髪を解いて 土の底へ 僕は眠りに落ちてく… 古びた閨に射す光 袖を濡らす ――君は誰? 蝶のゆめ ――蝶々の声? 羽は何処? なくした羽を ――息を呑む 白い肌 嘆き続ける ――瞳に映る 泣き顔 こちらへ 孤独を断ち切る刃なら 私が授けましょう ――近づく 代わりに ――少しずつ 其の躯をください ――鼓動が 此方へ ――重なれば 蝶は綾を織りなす…