黄昏の迫る空を仰ぐ 影ふたつ 紅い風車 回る回る 風のままに 幼い頃の記憶が語る 五つ上の君は 母の代わりに頭を撫でる 誰よりも大切な兄(ひと) 懺悔を 小さな指では伏せられない過ちを 何度も許した君の背に守られていた じわりと胸に広がる毒は ずっと変わらないと 夜に沈んだ世界のようで 信じ続けていたのに 両の羽が傷付いた蝶は 力尽きて落ちた 美しい花を見ることもない抜け殻 いつしか夢現は混ざって 消えてしまうけれど この手で壊した日常(しあわせ)を 忘れたくない 妖しく やがて現れる 化けた蜘蛛の眼は紅く 私を捕らえて映したのは苦い記憶 じりりと胸を焦がした明かり 君の弓を借りて かつての罪と向き合うために 打ち貫ければ 真実も放たれる もう回らぬ風車 今は風もそよがずに 独り闇に立ち向かう 強くなると 誓うから その姿は凜とした花 声さえも失くした君が力尽きた 場所は 暗がりの部屋 新しい朝を知ることもない虫籠 外に降る雨を 知ることもない虫籠の中 ぼやけた夢現の向こうで君が 笑うために 許されずとも 私が壊した願いを全て守りたい 過去の私が壊した願いを全て 守りたい 約束の日まで 遠い日まで