闇に浮かぶ蛍火に現れては消える 泡沫 現の夢が映すは飛び交う蝶の影 悪意に染められた化け物を鎮める 破魔矢の 異能(ちから)を授かりし 千の羽の一族 はじまりは蜘蛛を殺めた 血の香の残る沼に棲む 永久(とこしえ)の呪い 夜を待つ蟲狩りは今も毒を宿し 白き水を掬う度 人知れず罪を背負う 此の世の妖かしを 視通せる眼に生まれて 永くは生きられぬ 武人(いくさびと)の代償 悪夢に苛まれながら 誰かを恨む理由もなく ただ血を繋いだ 風を待つ蟲狩りが傷つけた蜘蛛の巣 絡む糸に触れる度 縁が繋がる定め また繰り返す 千羽の名の下 枝を接ぐ虚ろ木の燃え尽きた灰から 生まれ変わる蟲狩りは現世に何を 願う