Track by鳥羽一郎
生まれたときから 吹いていた 山背(やませ)の風だ 荒くれだ ここは下北(しもきた) イカ釣り舟に 命あずけた 若者が 親のこころを 継ぐ港 波止場の近くの 呑み屋では お立ちの酒が 売り切れだ 横に倒した 五合徳利(ごんごうどくり) マイク代わりに だきしめて 別れ歌など 聞かす奴 嵐が齧(かじ)った 傷跡を ペンキで癒(い)やす 暇もない 海の機嫌が 変わらぬうちに 行こか尻屋(しりや)の 沖あたり 霧もほどけて イカ日和(びより)