男はいつでも心の中に 淋しい鞄を持っている 日々の暮らしを渡るとき 信号待ちで止まるとき 男は鞄を開けてみる はじめて愛した人の名や ひとり暮らした街並みが 息をひそめて入っている あなたは風の中でも煙草を吸うのね どんな時でも 思い通りのことをするのね そしていつかは忘れてしまう 私を忘れたことすらも 男はいつでも心の中に 淋しい鞄を持っている 夢に追われて生きるとき 自分をそっとだますとき 男は鞄を開けてみる まだあどけない子供達や 明日を分け合う妻の目が ふっと微笑みかけてくる あなたは風の中でも煙草を吸うのね どんな時でも 思い通りのことをするのね そしていつかは忘れてしまう 私を忘れたことすらも あなたは風の中でも煙草を吸うのね どんな時でも 思い通りのことをするのね そしていつかは忘れてしまう 私を忘れたことすらも