終わりの季節に始まった ありふれた恋の筋書きが、 冴えない夢と うつつの狭間で鳴っている。 冷えきったココアを飲み干して、 物憂いふりしてうそぶいた 君の耳に触れる日を、 ただ想っている。 「ブルーを舞う連中の隊列を 醒めた目で横切って、 危うさと美しさをきっと 誰よりも知っていたいね」 淡い色の希み。 魔法とは呼べやしないような、 子どもだましの 日なたでもいいかな。 桜の手がかりさえも 見せない風に揺らいで、 君の名は綺麗だったな。 ふわりと浮かんで飛んでいった 糸くずのような我愛你。 言えないままの響きさえ甘く丸い。 気まぐれな言葉ににじんだ 狂おしいゲームの予感を、 猫のように とりとめもなく抱いていたい。 レコードに針を落として 閉じた目に蘇る、 光さえ遮るほどの光は、 君と同じ姿の幻。 降りしきれ、刹那の憧憬! さざ波を打つ鮮明すぎるコード。 頼りないばかりの僕が 優しくなれたらどうか、 ここへ来て笑い飛ばせよ。 魔法とは呼べやしないような、 子どもだましの 日なたでもいいかな。 桜の手がかりさえも 見せない君に揺らいで、 世界はただ、綺麗だったな。